首都圏などの移動制限始まる 検問所で監視、夜間外出も規制

フィリピン政府は2日、新型コロナウイルスの感染対策でマニラ首都圏と周辺4州の地域外からの出入りを本格的に制限し始めたと明らかにしました。検問所を設置して当局などから許可された身分証の提示などを求めます。6日からは首都圏の各地にも検問所を設けて監視を強化するほか、夜間外出を禁止する時間帯も延ばす。市民の外出や移動を制限し、感染力が強いインド型(デルタ株)の感染拡大を抑え込む考えです。
首都圏は6日から20日まで4段階ある外出・移動制限で最も厳しい水準に引き上げられるが、既に厳格な措置に近づいています。内務・自治省によると、首都圏と周辺4州を一つの地域とみなし、地域外からの出入りを制限し始めました。ブラカン、リサール、ラグナ、カビテ各州の境界線沿いに、国家警察や国軍、沿岸警備隊などを配置しています。
往来を認めるのは、医療従事者など最前線で働く人や厳格な措置でも出勤が認められる業種の労働者などに限られ、検問所で身分証や許可証などを提示する必要があります。一方、貨物車両などの往来は制限しません。
6日からは首都圏と周辺州の各地にも検問所を設置して、さらに取り締まりを強化します。内務・自治省のマラヤ次官によると、配置される警官の数は約5,000人になる見通しです。最も厳しい外出・移動制限が敷かれると、住民は基本的に自宅待機を命じられ、企業活動も大幅に制限されることになります。
フィリピン大学のシンクタンク、OCTAリサーチによると、国内の新規感染のうちデルタ株は26%を占めます。足元の1日当たりの感染者数は8,000人以上で、約2,000人がデルタ株に感染していることになります。保健省はこの件について言及していないが、感染力が強いことには警戒を示し、市民の外出や移動を制限する必要があると強調しています。
厳格な措置下で首都圏の外出制限はさらに厳しくなります。マニラ首都圏開発庁(MMDA)は2日、6日から20日まで夜間外出を禁止する時間帯を午後8時~午前4時に延ばすと明らかにしました。これまでは午後10時~午前4時でした。
外出する際に必要なバランガイ(最小行政単位)の許可証は、各自治体が新たに発行する見通しです。既存のパスを使えるようにするかは自治体次第となります。酒類販売も自治体判断で禁止することができますが、マカティ市やタギッグ市などは現時点で販売を続けるようです。
公共交通機関の運行は現状を維持し、ロケ大統領報道官によると、定員の5割で運行を続けます。ワクチンの接種などで移動手段が必要になるためと説明しています。
首都圏政府は400万回分のワクチン供給を求めていますが、中央政府が確保しているのは現時点で250万回分にとどまっています。首都圏政府は、外出・移動制限が厳格化される期間中に1日当たり25万回の接種を目指しています。

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この記事の監修

家村均
家村均

一般社団法人 フィリピン・アセットコンサルティング
エグゼクティブ・ディレクター
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慶応義塾大学経済学部卒業後、東急に入社し、海外事業部にて、米国・豪州・ニュージーランド・東南アジアなどで不動産開発や事業再構築業務に従事。
また、経営企画部門にて東急グループの流通・メデイア部門の子会社・関連会社の経営・財務管理を実施した。(約15年)
その後は、コンサルティングファーム(アクセンチュア)や投資ファンド(三菱UFJキャピタル)などで、企業や自治体の事業再構築、事業民営化等の支援や国内外のM&A案件のアドバイザリーを実施し、2018年10月より、GSRにて、日本他の投資家および企業、ファンドなどに対してフィリピン不動産への投資や事業進出のアドバイザリーを行っている。

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